第50章 ほっとけーき
「信じられない?」
『フラれる覚悟で来たんだ。だからもう頭の中がぐちゃぐちゃで』
「翔さん、どうしたら信じてもらえる?」
翔さんの目を見つめた
「男同士でお互いが好きって奇跡だよね。でも現実だから。こんなに好きな翔さんが目の前にいる。俺、今すぐ抱きしめたい。今すぐキスしたい」
『・・そんなハッキリ言われると照れる』
耳まで真っ赤になって目がウルウルしている
「そんな顔してたら、襲うよ」
ちょっとふざけて言ったけど
可愛い姿を見せられて
あながち冗談でもなかったりして。
クスッと笑えた
おでことおでこをくっ付けて
ゆっくり
お互い見つめ合った
そして
どちらからともなく
唇を重ねていた。
柔らかい唇
角度を変えて
何度も触れある
薄く開いた唇
歯列をなぞり
お互いの舌を絡ませる
「んぁっ」
翔さんから
小さく漏れた声を聞いた途端
身体中の熱が一気に上がった気がした