第14章 Drew heart called it valentine
仕立てのいいスーツを着たその男性は困ったように眉間にシワを寄せながらチョコレートを見ていた様子だったが、そのままの表情で松本を今度は品定めするかのように見つめてきた。
『あの…… 贈り物ですか? ご自宅用ですか?』
『ああ。贈り物なんだが………
若い男の子で… チョコとか何でも好きだと思うんだが……何がいいか選んでくれるか?』
『かしこまりました。 そうですね。
こちらの新作の抹茶のトリュフなどいかかでございますか?
よろしければ、こちら試食どうぞ召し上がってみてください。』
試食のトリュフチョコレートを一口口に入れるとたちまちその男性の表情が揺るんで可愛らしい笑みを向けてきた。
『うまっ。 何これ。 今まで食べてたチョコは何だったんだって位うまいよ。 これにするよ。松本さん。』
そう言って、その人は名前を呼んで胸元から自分の
大野病院医院長 大野智と書かれた名刺を渡してきたんだった。