第10章 When a cherry tree blooms.
コンテストまでは、あと1ヶ月。
日本人では俺1人だけ。
『はあ~… ただいま。』
マイクの実家が近いので、ホーム
ステイという形で食事やなんやと、
ママが手厚くやってくれている。
俺は、ようやく部屋で1人になり
杏樹の写真に声をかける。
『疲れたな…。 ここも軌道に
のってきたし、大会終わったら日本に戻って
また
新しいAnjuを開きたいよな。』
そう言って、そのままベッドへと
倒れこむと目を閉じる。
最近は、目を閉じでも一時間二時間
は眠れない夜が続いている。
浮かぶのは、あの頃の和也の
笑顔……。