第7章 I do not want to leave it
【和也side】
『和也。 なんか…変わったな。
まぁ、16で出てきてもう19になるんだ
もんな。
…けどな、それとこれとは話は別だ。
今日のところは帰るけど、必ず家に
連れて帰るから。』
兄貴はそう言うと財布を取り出して
一万円札を置くと席を立とうとする。
『ちょっと、雅兄ちゃん。
何だよ…この金。 ってか、俺
マジで帰る気ねーからな。
それとも
無理やり、拉致して家に鍵でもかけて
閉じ込めて置くつもりなのか?』
俺は、テーブルを両手でバンと叩いて
言い返した。
『飯、食べて行くんだろう。
…俺だってそこまでしたくないし、
させないでくれよ。
それに、最近もう親父もだいぶガタが
きて弱ってるんだ。』
そうして『よく考えておいてくれ』
そう言うと兄貴は、さっと店を出て
真っ赤な高級スポーツカーに乗り込むと
颯爽と走り去って行ってしまった。