第1章 I met you, and I changed.
正直なところ、ただ決められたレール
を行く事を疑問に思ったっていうだけ…
別に、何かやりたい事もなかったし
俺には本当に何もないんじゃないか…。
そんなことを考えながら俺は電車に
飛び乗り遠く離れたこの街に降りた。
大きな荷物をガラガラと転がしながら、
とりあえず住むところが決まるまではと
ビジネスホテルへと向かって歩く。
『はぁ……。 疲れたな。』
普段歩く事がなかった上、
大量の荷物の重さに俺は思わず
声をもらして肩に背負った
ボストンバックを下ろして
その場に佇んだ。
ふと、甘い匂いが鼻をつく。
匂いの元を見てみるとそこには
茶色の大きな扉。
『ショコラティエ… アンジュ…か』
扉の横の小さな文字をつぶやいて
俺はその扉を開いた。