第15章 言えない口
沖田
「女中を辞めるんだったらここを退いてやるよ。」
(斉藤さんが言ってたじゃない!沖田さんは私を試してるって…
負けちゃだめ…)
みわ
「分かりました…退かなくて結構です!!」
そう言うと私は自室とは正反対の方へ走り出す。
(確か!!牢屋の入り口の棚に囚人用の長襦袢が入ってたよね
あそこから瀬戸さん取り出してたし!)
背後から沖田さんが追いかけてくる足音が聞こえる。
早く行こう!!
背後から"悪かった"とか"もう良いから"って聞こえて来るけど…
信じられない。
局長さんや副長さんの部屋の前を華麗に通り過ぎ、
隊士さん達の寝所の前を颯爽と走り抜け…
裸足で庭に出ると牢屋の前に辿り着いた。
ここまで来ると流石に沖田さんは着いて来ない…
私は息を整えながら牢屋の中へ入った……
みわ
「お邪魔しまーす…」
扉をあけて中へ入ると……
みわ
「((((;゚Д゚)))))))」
瀬戸さんが何故か椅子に座り本を読んでいた。
瀬戸
「お前!!」
瀬戸さんが私に駆け寄ると建物の中に入れると入り口の鍵を閉めた。
瀬戸
「お前なんでそんな格好してんだよ!!」
瀬戸さんは焦りながら入り口近くのタンスから長襦袢を取り出すと私に着せてくれた。
瀬戸
「一体どうしたってんだ?」
みわ
「……」
瀬戸
「どうした、話してみな。」
みわ
「……」
瀬戸
「…お前なんか勘違いしてないか?俺は怖くないぜ?ほんと。
本当は優しい心の持ち主なんだよ?だからさ、ほら、話してみな。」
瀬戸さんが優しいから、
私はさっきの出来事…洗濯場で斎藤さんに言われたこと…昼間された事を全部話した。