第2章 出仕
その登場に、誰もが息を飲んだ。まさに本日の主役の面目躍如である。王子のエスコートで現れたユーファミリアに、舞踏会の招待客の目は釘付けだった。シンプルでありながら上質なドレスと控え目ながら上品な装身具が元々の美貌を際立たせ、若干16歳の少女の笑顔に華を添える。辺境暮らしが長かったとはいえ養父は国王、一つ一つの所作は洗練されており、一国の姫と呼ばれるのに不足はない。
「なんと美しい……」
誰知らず上がった声に、異を唱える者はいない。だが光が強ければ陰は濃くなる。それを面白くないと思う者もいるのである。
「お兄様、私にもご紹介くださいませ」
エスコート役としてユーファミリアの側から離れないケイネスト王子に、声をかけるものがいた。
「ああ、エミラーデか。姫、こちらは妹のエミラーデ、貴女と同じ16歳です」
「ようこそグリュネワルドへ。歓迎致しますわ」
「お初にお目にかかります、エミラーデ姫。ユーファミリア・ハクラシローメと申します。どうぞ良しなに」
にこやかに挨拶を交わすと、エミラーデ姫は続けて言う。