第6章 薬研のこと
名前は、俺のためにケーキを買ってきてくれたらしい
家出をしてから転々とした家の奴らは…俺に何かしてくれたか?……いや、何もしてくれなかった
やっぱり名前は、俺にとって特別だ……
出会ってまだ間もないはずなのに……ずっと長く一緒に居る気分にさせてくれる
こんな心地のいい居場所があるなんて……幸せな事もあるもんだな…
そんなことを考えていたせいか、名前に声をかけられる
『薬研?どうした?』
「いや、なんでもねぇ……今日も美味いな、名前の手料理」
『そう?お口に合うようで良かった〜』
そう言って可愛い笑顔を浮かべる名前
俺は、アンタを好きになっちまったかもしれねぇ…
ただの居候なんて……満足出来ねぇかも