第1章 宝物
文次郎と留三郎がいがみ合いを続けてる間も、から一時も目を離さずにいた長次と小平太は珍しく真面目な顔で互いを見つめ、仙蔵と伊作に視線を送る
皆が心配しているのは他でもない、を見ている男の視線だった。
年頃の娘だと言うのに、飾らない笑顔に柔らかな物腰、ことのほか子供達へ向ける瞳は優しいもので男が目を引くのは至極当然な事で、だからこそ仙蔵達は心配していた。
『あの3人組が側にいるお陰で難を逃れてはいるが、時間の問題かもな』
『うん、ただのナンパ男なら未だしも達の悪い男に目を付けられたら乱太郎達も危険だ』
『出きれば、見守るだけにしたかったがやむ終えんな。』
『(ボソッ)行くのか?』
小平太、伊作、仙蔵、長次と4人で行動にうつそうとした矢先、留三郎が急に大声を上げたので振り替える
『どうし・・ーっ!?』
『あれ、黄昏時の忍だよな?』
『ああ、確か土井先生を良く付け狙っている諸泉さん・・だったかと』
『じゃあ何で、その黄昏時の忍とドクタケの忍が会ってんだよ!?』
物陰で隠れるように話している2人の男は、間違いなく黄昏時とドクタケの忍で、思いもよらぬ事態に困惑する。
迷っている時間もないので、伊作と留三郎が の尾行、残る4人が黄昏時とドクタケの忍を追いかける事にした。
『大丈夫かな、仙蔵達』
『無茶はしないだろ、今は目の前の任務に集中するぞ』
プロの忍の尾行は危険を伴うだけに、伊作は心配ならなかったが、留三郎の言葉に前を向き直す。
そんなやり取りを見つめる人物がいた事に、2人は全く気付いていなかった。
『ん~、おいひぃですね、このお饅頭』
『出来立てで、ホクホクしてて美味しいね』
『僕もう1つ食べる~』
『シンベエ食べ過ぎてお腹壊すなよ?』
『10個くらい大丈夫だよ~』
『相変わらずだな、・・ん?』
『どうかした、きり丸君?』
『ん~、何だか今視線を感じたような・・』
慌てて身を隠した伊作と留三郎だったが、きり丸は2人のいる場所とは別の方向へ顔を向けては首を傾げていた。