第1章 宝物
『私達が道案内を致しますので迷子にはなりませんよ?』
『いや、迷子以前にだなぁ』
『半助、気持ちは分かるが反対をしても学園長の発案なら、許可をせざるおえまい』
『山田先生』
確かに学園長の決定に、一教員にすぎない自分が口を出せる筈もなく不安はあるが仕方ないと外出許可書を4人に出すと、3人は喜び立ち上がるなり着替えて来ます!と部屋を飛び出して行った。
『、暗くなる前に帰ってくるんだぞ?』
『はい』
にこやかに返事をしたに、土井は口角を緩ませ頭を撫でると、は嬉しそうに頬を赤らめるので、山田はヤレヤレと溜息を付きながらも笑っていた。
そして4人は揃い学園を出ると、きり丸の提案で一番近い町へ行く事になり、足を進める。
『で、そろそろ教えてよ、きりちゃんが行きたいって言うんだもん、町で何かお得情報でも仕入れたんでしょ?』
『あれ、バレてた?実はさ、今古着や小物のセールをしてるらしいんだぁ、さんの着てる着物ってみんな山本しな先生の御下がりでしょ?』
『・・もしかして、私の為に?』
『やっぱり女の人だから、お洒落したいかなって思って』
少し照れたように頭をかくきり丸の横顔に、は驚きながらも嬉しくて顔が緩んでしまった。
『きり丸優しいねぇ』
『きりちゃん、さんの事大好きだもんね』
『ば、馬鹿!ハッキリ言うなよ乱太郎ッ!』
『フフ、私もきり丸君の事大好きよ。』
『へ?』
『勿論、乱太郎君とシンベエ君も大好きだよ。』
『さん・・』
3人は照れながらも嬉しそうに笑い、肩を並べて町迄の道のりを楽しく歩いて行った。
そして同じ頃、学園では
『・・け、半助!』
『は、はい!?』
『全く、何度呼ばせるんだよ・・』
『す、すみません!』
『・・気になるんだろ?』
『いえ、そんな・・事』
気になって仕事に手が付かないのは山田でなくても直ぐに分かるほど、心ここにあらずな土井の態度に、山田は大きな溜息を付く
『本当に、お前も心配症だね~全く。4人なら五六年の子達に任せておけば大丈夫だ、そう思ったから外出許可書を出してやったんだろ?』
『そうなんですけど・・』