第1章 宝物
『そちならそう言うと思ったが、真面目に頑張ってくれている君を無償で働かせては、学園長として立つてがないのじゃ、それにそちも年頃の娘じゃ、欲しい物もあるじゃろ?今日は良い陽気じゃ、近くの町へ息抜きに行くのも良かろう』
『学園長先生・・』
好意はとても嬉しいものだったが、今日は休日でもなくまして一人で外出した事もない為、出掛けるのは難しいだろうと眉を寄せていたに、学園長はポンと手を打つ
『そうじゃ、確か今日一年は組は自習だから町迄道案内をさせよう、決まりじゃ。』
『一年は組の良い子達ですか?流石に迷惑では』
『そんなことありませーん!』
ババーンと襖が開かれたと思えばそこには乱太郎、きり丸、シンベエが仁王立ちしていた
『学園長、その役は是非私達にお任せ下さい!』
『僕達、町迄道案内しま~す!』
『デヘデヘデヘ』
にこやかな乱太郎、シンベエの隣できり丸の目が銭になっているので、学園長がお駄賃は出んぞと呟くと、うって変わり滝のような涙を流すきり丸に、乱太郎がヨシヨシと慰めている光景には呆気にとられていた
『では3人に任せる、行ってきなさい。』
『学園長先生!?』
『はぁい!』
を他所にあれよあれよと話は進み、3人に手を引かれるまま着物に着替えさせられたは、再び3人に手を引かれ山田・土井先生の部屋の前から声をかけていた
『入りなさい』
『失礼しまーす』
『どうした?今は自習中でって・・!?』
『お忙しいところすみません』
『おや、着物姿とは珍しいね君』
二人はデスクワークをしていたようで、3人に引きつられて来たの姿に驚いていたが、4人が部屋に入り座った矢先に言われた台詞に土井は目を見開き立ち上がる
『外出するって、どうゆう事だ!?』
『実は学園長先生から初めてお給料を頂きまして、たまには気分転換に町まで出掛けて来なさいとお暇を頂きました』
『ましたじゃなぁぁいッ!』
『まぁまぁ半助、そういきり立つな』
『無理言わないで下さいッ!』
怒り全開で慌て捲る土井に、山田が宥めている様子に天井で事のなり行きを見守っていた五六年が、土井に同情の溜息を漏らしていた事に、は知るよしもなかった。