第1章 宝物
私が忍術学園の事務員となって数週間が過ぎた。
最初こそ、生徒さんや先生方から警戒され、受け入れて貰えるか不安もあったけれど、彼がいたから今日迄頑張ってこれた。
そう、土井半助
彼が側にいてくれたからこそ今の自分があるわけで、とても感謝をしている
何より彼は・・
恋人・・だから
そんな事を考えつつ、日課となっている校門内の掃き掃除をしてはホウキで集めた落ち葉を塵取りに入れていたに向かい、同じ事務員の先輩が駆け寄ってきた。
『ちゃ~ん、あのね学園長が呼んでっぶへ!!』
『だ、大丈夫!?小松田さん!?』
駆け寄ってきた小松田が見事に集めた落ち葉にダイブした挙げ句ぶちまけると、心配して呼び掛けたの声に、小松田はヘラリと笑い大丈夫~と返事をするので、ホッとしたがは小首を傾げた
『小松田さん、今学園長が呼んでって話してましたか?』
『うん、そうだった、学園長がねちゃんを呼んでるから、直ぐに学園長の庵に向かって』
『分かりました。』
小松田が掃除は任せてとホウキと塵取りを受け取ってくれたので、は急いで学園長の元へと向かった。
『・・何だろうな、学園長の呼び出しって』
『ろくでもない思い付きじゃなきゃいいが』
『気になるなぁ』
と小松田のやり取りを近くで耳にしていた五六年の一行は、其々興味や心配を胸に、互いを見ては密かにのあとを追った。
その頃、学園長の元に到着したは学園長の前に正座をして向き合っていて、ヘムヘムがお茶を出してくれるとありがとうございますとお辞儀をしてからまた学園長へと視線を戻す
『さて君、今日は君を呼んだのには他でもない、君にこれを渡そうと思ってのう』
『これは・・』
『君が学園の事務員として仕事をしてくれた事への賃金じゃよ』
『えっ・・』
それはつまりお給料という事で、はパチパチと瞬きをしては驚きに突き返した
『頂けません学園長、私は半助さんに助けて頂き学園長のご厚意で此方へ置いて頂いている身です、お給料等頂くわけにはいきません。』