第1章 宝物
『何しに現れた!?』
『少し心配になって様子を見にきただけだよ、無事なようで良かった』
『何をヌケヌケと!』
『待って留三郎、文次郎!』
『伊作・・』
『雑渡さん、心配して駆けつけてくれたんですか?ありがとうございます。』
伊作に対し、表情を和らげる雑渡に、他の生徒達も食いかかる勢いを削がれてしまうと、用はすんだと言わんばかりに黄昏時忍隊は姿を消した。
結局彼らが何故ドクタケの忍と会っていたのかは分からずじまいだが、雑渡の様子からして深追いする必要はないと判断し、皆揃い学園へと帰って来た。
そして、その夜の事・・
昼間やり残した仕事を片付ける為、一人机に向かい答案用紙と睨み合っている土井の元に、お茶とおにぎりを差し入れに来たは、土井の側に腰を下ろし、懐から昼間購入した小さな巾着袋を取り出すと土井にそっと差し出す
『これは・・』
『半助さんにお土産です』
『私に?おや、何か入っているな』
『あっ、それは』
土井が巾着の紐を開き中身を手に出す
すると、コロコロとカラフルな飴が出て来て、少し驚いた土井の向かいで、は頬を赤らめていた
『少しイビツになってしまって、お恥ずかしいのですが・・』
『この飴、作ってくれたのかい?』
『はい、飴は作った事がなくて、形が纏まらなかったのですが、疲れた時には糖分を取ると良いと伊作君に聞きまして、きり丸君に美味しいみかんのお店を教えて頂いたのでみかんの果汁を絞り作ってみたんです』
『 ・・』
『・・すみません、本当はもっと気のきいた贈り物をしたかったのですが、乱太郎君達にもお買い物に付き合って貰ったのでお礼をしたくて、お金に余裕がなくなってしまって』
『・・馬鹿だな』
『えっ?』
不意に呟かれた声に顔を上げたの目に飛び込んできたのは、はにかんだように笑う土井の笑顔だった
『折角の給料を何故自分の為に使わなかったんだ?気持ちは嬉しいが、君は気を使いすぎだ。』
『でも、私・・いつもお世話になっている人にお礼をしたくて』
『お礼ならいつも貰っているよ。』
腕を引かれ土井の胸の中に閉じ込められたが目を見開き驚いていると、耳元に唇を寄せる