第1章 宝物
何とか3人だけでも逃がしたくて伝えた言葉にも力強く否定した3人の小さな背中は、とても頼もしくて、それでも大人4人を前に気持ちとは裏腹に微かに震える肩に、は唇を噛み締める
『無駄な抵抗だな、さっさと退け』
『嫌だ!』
『うわっ!』
『だ、駄目ッ!乱暴しないで!』
両手を広げて守ろうとしてくれた3人は、男に簡単に弾き飛ばされ倒れてしまった3人に駆け寄ろうとしたの腕を、男が掴むと引き寄せる
『抵抗すんなって言ってんだろ?可愛がってやるからよぉ』
『やっ!離して下さいッ!』
***
『私達を相手に良く粘ったものだが、これで終わりだッ!』
『くっ!』
男のクナイが振りかざされた瞬間、手裏剣によりクナイは弾き飛ばされ、留三郎に馬乗りになっていた男目掛けて飛び蹴りが炸裂。
男が吹き飛ばされたのを留三郎が呆気に取られていると、伊作が駆け寄り留三郎の肩を掴んだ
『大丈夫!?怪我してない留三郎!?』
『だ、大丈夫だから揺するな、いてぇ』
『あっ、ごめん!』
『ったく軟弱な、あんなヤローどもに押されやがって』
女装した格好も気にする事なく大股で歩いてきた文次郎の左手に、吹き飛ばされた男が掴まれているところから、飛び蹴りをしたのが文次郎だと分かると、留三郎は顔を引きつらせる
『お前な、仮にも女装してがに股でふんずりかえるなよ。』
『敵に馬乗りにされてたお前に言われたくねーんだよ!』
『お前達、喧嘩は後にしろ・・』
『行くぞ』
敵の1人を仕留めた長次と仙蔵に言われ、4人の目付きはかわる。
自分達がここへいる理由はただ1つ
そう、を守る
***
『女が手にはいればこのガキどもに用はない、行くぞ!』
『・・』
男の腕に抱かれていたの耳元に囁かれた声に、が目を見開いている間に、男の腕から奪い返したのは土井だった。
『半助さん・・』
『遅くなって、すまなかった。』
『てめぇ、女を返しやがれ!』
『返す?人の女に手を出しておいて、ふざけたことをぬかすな。』
『ッ!』
凍てつくように冷たい目で睨まれた男達は後退り、怯えながらも4対1とあり、懐から短刀を取り出すと土井に向き直る。