第2章 Valentine Eve 〜バレンタインイブ〜
家に帰ると、は子供達に渡す分と、蘭と園子にあげる分、小五郎に渡す分に博士に渡す分、と渡す人によって箱をより分けた。
「……これでよし。あとは……」
ほんの少し大きめの3つは──『彼ら』の分。内2人は会えるかどうかすら謎だけれど。
それから、会えるかどうかが謎な2人──安室と赤井に電話をしてみた。
先に繋がったのは赤井だ。
『……誰だ?』
「あ、赤井さんですか?です」
『……!?』
電話の向こうで赤井が驚いた気配が、にも伝わって来た。
「電話番号はこっそりジョディさんに聞きました。……あ、彼女のことは怒らないでくださいね?私が無理言って聞き出しただけなんで」
慌てて赤井の機先を制する。
『……それで、何の用だ?』
少し不機嫌な声になった赤井に、はしゅんとしながら訊いてみた。
「あの……明日ってヒマですか?」
しまった訊き方間違えたヤツだこれ!暇なわけないじゃんね!
『……俺達が暇に見えるか?』
ほらやっぱり!
はかなり焦った。
「あ、いやそーゆうわけじゃなくて!! わ、渡したいものがあるんです!だから、少しだけお会いできないかと……その……」
最後の方になるにつれて、声が細くなってしまった。すると、電話の向こうで赤井が小さく笑った。
「……赤井さん?」
『ああ、悪い。……少しでいいなら会えるが……』
「本当ですか!?」
『ああ。ただ、お前が我々の所に来るのはかなり危険だから、俺かジェイムズが迎えに行く。それでいいか?』
「全然オッケーです!ありがとうございます!」
は電話だというのに頭を下げてしまった。最後に時間を決め、電話を切る。
さて、次は──はもう一度電話をかけ直してみた。
『……もしもし?』
はホッと息をついた。……繋がった。