第2章 Valentine Eve 〜バレンタインイブ〜
2月13日。
は講義が終わった後、仲良しグループの華南、樹、真白にバレンタインチョコを渡した。
「わーっ!高校の時以来じゃない!?うれしー!ありがと!」
「へぇ、工藤のチョコかー。腹壊さなきゃいいけどな」
「……ありがとう」
三者三様の意見(樹は即座にゲンコツを落としました☆)。
樹は小学校の頃から、華南と真白は中学からの同級生なため、かなり気心は知れているのだ。特に華南とは女同士ということもあり、かなり仲がいい。
「樹〜?私小学校ん時から毎年あんたにチョコあげてて、毎回コメントがそれってどうなの?ねぇ?少しは進歩しようよ」
「いーだろ、どうせ腹壊すんだからよ」
「それは食べ過ぎだからでしょー!ったく……」
そんな2人の会話を華南と真白が苦笑いして見ている。
「まぁまぁ、私はありがたく受け取っておくからさ。ありがとね」
「ん。どういたしまして」
笑ってそう言う。と、真白が不意に訊いて来た。
「は他に誰かにあげるの?」
「んー、まぁお世話になった人とかー、知り合いの子供達とか……あと何人か、かな」
「……あんたどんだけ作ったのよ」
華南が呆れたような声を出した。はうーんと考え込む。
「……結構作ったね。家にもまだあるから、酒のツマミにしようかと思って」
「……オヤジ」
「真白?聞き捨てならないセリフが聞こえたんだけど?」
が真白を覗き込むと、真白はふいっと顔を背けた。
「さて、と……明日は色んな所回らなきゃだな」
「そんないるの?」
華南がぎょっとして言った。はこくりと頷く。
「うん。えーっと、……12人?くらい?かな」
は指折り数えてみる。多分12人ほどである。樹が感嘆の声をあげた。
「工藤……お前意外とスゲーのな」
「『意外と』は余計よ。……というわけで、明日連絡はあまり取れないから。ヨロシクぅ」
はそう言うとさっさと先に帰った。