第2章 Valentine Eve 〜バレンタインイブ〜
「あ、安室さんですか?お忙しい中すみません、です」
『……!? ……さんですか』
安室もやはり、が電話をかけてきたことに驚いているらしい。
「あの……実は、明日少し時間あるかなって思って……」
『時間?』
「は、はい……。渡したい物があるんです」
そう言うと、安室の返答はすこし間が空いた。
『……夜なら時間は空くと思いますが……渡したい物って』
「そ、それは明日まで内緒です!」
そして待ち合わせ場所と時間を決め、電話を切る。
電話をし終えたはフフッと笑った。
「……えへへ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──赤井side
からかかってきた電話を切ってから、赤井はジョディをじろっと睨んだ。
「……仲間の連絡先を勝手に教えるとは感心しないが」
「しょうがないでしょ?あの子にあんな風に頼まれたら断れないし」
ジョディも呆れたようにため息をついた。
何でも、『赤井さんの連絡先を教えてくださいっ!』と、わざわざ頭を下げてきたのだそう。
赤井はそれを聞いて、深くため息をついた。
「……ここまでやるか」
「で?あの子何の用だったの?」
ジョディに訊かれるが、赤井は何も言わなかった。「明日には分かる」それだけ言って部屋を出て行った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──安室side
一方、安室はとの電話を終えた後、椅子に座ったまま携帯をじっと見つめていた。……驚いて思わず敬語で対応してしまったのをすこし後悔。
「……渡したい物って何なんだ、まったく……」
安室は大きくため息をついた。
そういえば、明日は2月14日。その日は何かあったような気がするが──「降谷さん!」公安での部下・風見に呼ばれ、安室は席を立った。
「……まぁ、明日になれば分かるか」
安室は1人密かに呟いた。