第1章 始まりは突然に
「でもなー……大学も最近締めに近いから結構キツキツなのよね……」
「勉強の息抜きにいいじゃないですか?トリュフとかなら簡単そうだし……」
「まぁね。……しょうがない、作るかぁ」
そう言うと、蘭の表情が2、3段階明るくなった。
それから、少し言いづらそうに蘭がまた上目遣いでを見て来た。
「?」
「あ……あの、すごい恥ずかしいんですけど、実は……」
「へ?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「で?あんたはバレンタインデー、蘭ちゃんに会うわけ?」
夜。はコナンに電話をかけていた。
が訊くと、コナンは呆れたように答える。
『バーロ、こんな体で会えっかよ。オメーはチョコ作んのか?』
「うん、まぁね。今年は少しだけ気合い入れて作るつもり♪」
『へー。何作んだよ?』
「んー?秘密♡」
はおどけてそう言うと、「じゃあおやすみ、新一」と挨拶だけして電話を切った。
「……さて、と……」
明日にでも材料を買いに行かなくては。道具は一式揃っているが、チョコレートや生クリーム等、必要なものは多々ある。
はぐーっと伸びをして、本棚にあるレシピ本を手に取った。