第13章 月と星が輝く夜に【武田一鉄】
無言で歩くこと10分程度
気まずくない訳ではないが、それが心地よかった
でも、そういう時間はすぐ終わる
10メートル先に見える、10階建てのマンション
もうすぐ、2人きりの時間も終わる
そして、マンションの前に着く
「あ、ここなので大丈夫です...あの..ありがとうございました」
「_いえ!遅くさせてしまったのは僕ですし、気にしないで下さい。」
武ちゃんは笑いながら言う
私の心の何処かに、まだいてほしいという自分が居ることを分かっていても、その自分を押し殺す
だって、"行かないで"って言ったら迷惑だから
「えっと、先生も気をつけて帰ってくださいね」
「____はい。それじゃあ.......」
でも、先生はなかなか歩き出さない
私も、マンションへと向かいたくなかった
その時、
「あの......き、今日は____星が綺麗ですね...!」
そう言う武ちゃん
「え...?」
私は、何も言えずただ、つったっていた
そして、とっさに"そ、そうですね!"
と答えた
すると、武ちゃんはどこか悲しそうに笑うと、"それでは、また明日..."と言って歩いていった