第13章 月と星が輝く夜に【武田一鉄】
高校生活が始まってからはや1年数ヵ月、
もうすぐやって来る地獄
私は必死に考えた
どうやったら勉強せずに成績が上がるかを...
「そんなことあったらいいですけどね。でも、現実はそんな甘くはないですよ~!ほらっ、頑張ってください」
武ちゃんは共感してくれるものの、一気に現実世界に私を引きずり戻してきた
もうちょっと現実逃避してたかった
そう思うのも虚しく私はまた説明文に目を向けた
もうすぐ期末、私は現代文の成績が(最後から数えて)トップクラスであの優しい武ちゃんでもヤバいと思ったらしく、私に1対1で教えてくれることになったのだ
ありがたいけど、分かんない
さっきから、この紀男の矛盾した点を本文中から書き抜けという問題と私はにらめっこしていた
えー、何で紀男君は矛盾しとんや
何でなん?
考えるのを放棄しつつ私は"うーん、うーん"と唸る
「大丈夫ですか?ここは....」
私が唸ってるのを見かねて武ちゃんが優しく教えてくれる
でも、やっぱり分からんもんは分からんよ。先生
そのあと、私は1時間ほど教えてもらっていた