第12章 お兄ちゃん!2【黒尾鉄朗】
時計の針は8時前をさす
家に帰って来てから1時間経つが全く空腹ではなかった
私は、机の上にある母親達からの置き手紙とお金を見て息をついた
"2人へ
今日は母さんたちが付き合った記念日なので、デートに行ってきます。
2人で何かテキトーに食べてね?"
そして、添えられた1万円
まぁ、太っ腹だとは思う
家に着いた途端、制服を脱ぎ捨てて短パンとTシャツに着替えた私は、ソファーにねっころがって、スマホをいじっていた。
すると_____
クロ「___ただいまー」
お兄ちゃんがダルそうな声を上げながら学校から帰ってきた
「おかえりー」
私は、気にせずソファーねっころがりながら、足を組んでスマホを触る
クロ「あれ?母さんは?」
いつもご飯を準備して待っている母親の姿が見当たらなくて、疑問に思ったんだろう
「父さんと2人で仲良くデートだってー」
クロ「はぁ?デート?仲良いなぁ...」
そう言うお兄ちゃんは驚きながら机の上の置き手紙に気がついたらしい
クロ「んで、コレでなんか食えと....」
「うん」
お兄ちゃんは机の上の1万円を手にとって"うーん"と声をあげる
クロ「じゃー、何か食いにいくか?」
お兄ちゃんの提案に私は、少しだけ反対した
私は、ここから動きたくない
「ええ...めんどくさい...」
クロ「おい」
私は、組んでいた足を組み替えて、また一言
「何か買ってきてよ~!」
クロ「__...それは俺がめんどくさい」
それを聞いて私はまた"えぇ"と唸った
そしてあぐらをかいて"じゃあ!"と付け加えた
「何か出前取ろうよ~、1万あれば足りるっしょ?」
クロ「_____....ん、あぁ、じゃあ、何かとるか。なにがいい?」
出前を取ることになったので、案を出す
「うーん。ピザっ!」
クロ「んー...ま、いっか.....」
「いえーい!」
私は、足を広げて喜んだ
宅配ピザなんて久しく食べてない気がする