第10章 君の香りを追えば【川西太一】企画作品
冬の部活は手足が冷える。体が冷たい。
凍え死にそう
でも、そんな弱音は吐けないくらい強豪高のマネージャーは忙しい
例えばドリンク。
練習量が凄く、冬だろうと減るスピードは夏に劣らない
なので、水道で仕事は本当にツラい。
流石に私一人じゃ私の人権と言うものが失われる可能性があるので、1年生が手伝ってくれる
1年「先輩ッ!ドリンク手伝います。」
「ごめん。お願いします...」
1人ではとても終わりそうにない量を任され、気力を無くしている私を助けてくれたのは、1年生。
流石強豪と言ったところか...
そういうところはしっかりしてると思う。
1年生がせっせと作っているのを見て、私も急いでスポドリを作る。
あぁ、水が冷たい
私が急いでスクイズを洗っていると、左手の薬指の第二間接の部分に激痛が走る
「...っ......?!」
スクイズをいったん置いて見てみると、冬場奥様方の炊事の敵であり、この季節CMでよく見る所謂"パックリ割れ"になっていた
「マジか....」
ピリピリと痛む指。...しかし、今はソレどころじゃない。
「ま、いっか。あとで」
そう呟いて、痛みを我慢しながらドリンクを作る
「ふう...なんとか終わった...」
何十本もあるスポドリを体育館隅になんとか持っていき、一段落........
な、訳がない。
「うし...次、タオル」
私は何十枚ものタオルを用意する。
お陰で手は水分を持っていかれて、ガサガサである。
まぁ、気にしないけれど...