第8章 夏の思い出は一生輝く【木兎光太郎】
「何で..?」
分からなかった
頭が追い付かない
「ハア、ハア、ハア....お前...何で勝手に先帰ってんだよ....」
「....」
何も言い返せなかった
勝手な私の都合で帰ったのは事実だ
「でも、光太郎、怒ってたから...」
言い訳っぽくなるが、理由を言う
「.....ごめんっ!」
「!?」
いきなりの謝罪に声が出ない
「確かに、あの時俺は怒ってたが、よく考えたら俺が悪い...」
「ま、待って!怒ってた理由がよく分かんない...」
すると、上がっていた息を整えてから光太郎は理由を説明しはじめた
「あん時、夢香さ"自分に才能がない"って言ったろ?努力して手に入れた力も才能なのに、どうしてもそんなに自信がないのか..って思ったらカッとなっちゃって...」
そんなこと...?
でも、正直嬉しかった
私の、努力を才能と言ってくれたのも嬉しいが、私の事を思って怒ってくれたのだと知って、心がジーンとした
「光太郎のバカ」
「なっ!だから、ごめんって!」
私は少し拗ねたように言う
そして、モヤモヤが吹っ切れた勢いでこう言った
「.....好きだよ...スーパーエース...」
聞こえないように言ったつもりが、夏の7時頃は少し暗く静かなだけあって聞こえたらしい
「!///////」
光太郎は顔を真っ赤にして、目を白黒させている
「返事は...?」
ふざけて聞く。
「......お俺もだっ...!////」
その答えを聞いて、私は笑った
それにつられて光太郎も笑う
私たちはやっと、思いを伝える事が出来たのだった
end.