第8章 夏の思い出は一生輝く【木兎光太郎】
「俺たち、きっとスゲー選手になるぜ!」
君がそう言ってから、もう4年になるのか
そう思うと、長かったけど、私は結構短い気がした
気のせいかな?
そうだと良いけど
気づけば高校3年生の夏
2年間変わらず歩き続けてきたこの道
あっ、でも隣に居るコイツは4年以上一緒に居る
「だからさー、あかーしに言ったんだよ~!"俺は5本の指に入るスーパーエースだっ!"って、そしたら、"はいはい、そーですか。"だって!最近あかーしが冷たいんだよ~!」
「へー...赤葦くんもよく光太郎について来てるよね~」
「なっ!あかーしは俺のだかんな!」
「誰が狙ってるって言った?」
いつも朝は赤葦くんの話ばかり聞かされる
いい加減気づけよ..
その話が3回目だってこと。
私が光太郎のこと好きだってことくらい...。
そう思ったのも何回目か分からないくらいだ
「夢香はさ~大学行ってもバレー続ける?」
「...まだ決めてない...」
「ふーん...折角上手なのに、もったいねー」
夏休みに入ってから、よくこの質問をされるようになった
"大学にいってもバレーをするか、しないか"
実際のところ、私がバレーをしてる意味なんてほとんどない
確かに、運動するためとか楽しいからとかでもあるっちゃあるけど、一番の理由は、光太郎と一緒に居れるからだ
なので、光太郎が"バレー辞めるっ!"ってショボくれて辞めたら、私も辞めると思うし、続けるなら私も続けると思う。
それに、私からバレーを取ったら何も残らない
確かに、運動神経は良いが、頭も中くらいだしそもそも、梟谷学園自体、スポーツ推薦で入ったのだ今は辞められないだろう
それに、光太郎だってバレーを辞めた私になんて興味を示さないと思う
だから、私は興味を持ってもらえる様に頑張った
練習も人一倍して女子の強化選手にまで登り詰めた
そして、今に至る。
「あーあ!俺ももっと上手くなりてー!」
それ以上何を磨くのかは分からないが、一応答える
「充分上手いでしょ。スーパーエースさん」
「なっ!夢香に言われると嫌味に聞こえるぞ!俺はもっとブロックとか出来るようになりたいっ!」
「はいはい」
「夢香まであかーしと同じっ!」