第19章 似たもの同士【矢巾秀】企画作品
母がバレー部で、何となく中学時代はバレー部に入った。
母の遺伝か、はたまた手先が器用だったのか...私はずっとセッターとして、チームを支えて来た。
しかし、高校に上がり力の差を見せつけられた気がした。
私の1つ上の先輩...貴希先輩は二年で正セッターでセンスがありながらも努力を惜しまず、しっかりとチームを支える人だった。
流石常にベスト4に食い込むだけのチームだと感心した
そんな中、技術が他より頭一つ出た私は"貴希先輩の後釜"だと言われた。勿論まだ先のことってのは分かってる。それでもプレッシャーは募っていくばかり...
そんな時、男バレの話が耳に入った
あまりにも似た状況に思わず笑ったのを覚えている
そう、及川先輩だ
中学からの噂は勿論知っている。
.........だか、及川先輩が貴希先輩が輝けば輝くほど、私たち"後釜"と言われる人たちの荷物は重くなる。
及川先輩のあとの人も気の毒にな...
そう思いながら、私はボールを掴む。
....さぁ、あと20本だ
私だって努力をしない訳じゃない
でも、今一人で出来るのはサーブ練くらいだ
ボールを数回地面について、高くサーブトスを上げる
「......あ」
スムーズに一歩目が出る
そして、流れるように手がボールに当たる
_____キタ
ドパァンッ!!
手から放たれたボールは相手コートのエンドラインギリギリに叩きつけられる
「ふーー..........」
息を吐いて、ボールが入ったところを見つめる
もっと際どいコースを狙うにはどうすればいいだろうか?...1人じゃあ分からないことばかりだ
?「......左足をもう少し前に出して、手をもっと思い切り振り切れば、もっと際どいコース狙えると思うよ。」
「!」
入口から聞こえた男性の声に思わず肩をビクつかせる
私はドアの方に顔を向けた