第16章 貴方に届ける応援歌【及川徹】
私はベニーランドのテーマソングを鼻唄で歌いつつ、ドリンクを準備していた
すると、松川が"おい、夢香~"と私に話しかけてくる
「んー?」
松川「及川が居ないんだが」
「何で私に言うんだよ。一に言えよ」
ドリンクの数を数えて、人数分あったのでカゴを持ちあげる
松川「岩泉、今日週番で遅れるんだよ」
「あ、なら仕方ないね。まっつんが自分で探しに行け」
カゴを持ちながら、体育館の入口に向かう
松川「俺たち、今から練習なんだけど」
「......サボれば?」
松川「選手達をマネージメントする奴が何言ってんだ」
体育館の中に入って、指定の場所にドリンクを置いたら、次にタオルをたたんでカゴに入れる
「別に居なくても練習は出来るでしょ」
松川「お前なぁ...大会前なんだよ」
「....そうだけど」
タオルをたたみ終え、ドリンクの隣に置く
確かに、大会前はセッター居ないと合わせられないけども....
そんなことを話していると、溝口コーチが私を呼ぶ
「はい?」
溝口「夢香、ドリンクとタオルの準備終わったんなら、及川探してきてくれ」
「...えぇ....」
溝口「面倒なのは分かるが、今日は入畑監督がいらっしゃらないから、俺が行けないんだよ。よろしく頼む...」
「........はい......」
コーチに言われたら断れねーよ...
そんなことを思いながら、小さな声で返事をした
ため息をこぼしつつも、体育館を後にしようとしたとき、後ろから"頑張れよー!夢香笑"と声が聞こえた
イラッとした私はゆっくりと振り返り、言った本人であろう花巻に向かってニッコリ笑顔で中指を立てた
花巻「夢香怖ぇ!!笑笑」
松川「お前、後でどうなっても知らねーから」
松川は飽きれ顔でそう言って、爆笑している花巻の方を見た
私はそれらを無視して、今度こそ本当に体育館を後にした