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【イケメン戦国】✿ 永遠の恋〜華〜 ✿

第14章 我が儘な彼女(豊臣秀吉/甘め)


ある日の午後、私は秀吉さんと城下の外れの草原まで、ふたりで散歩に来ていた。

空は澄み渡り天は高く、小さな草花が微風に揺れていた。


秀吉さんはこの頃仕事詰めで、二人きりになれなくて、私が寂しがっていると感じた秀吉さんが仕事の合間に連れ出してくれた。


本当は忙しいはずなのに
疲れているだろうに
自分のことよりも、いつも私を気にかけてくれる。

でも、こうして二人の時間を作ってくれる秀吉さんの優しさに、何だか申し訳なくて…


草原の真ん中に肩を並べて座っている。
秀吉さんの逞しい腕が、私の肩を抱き、私は自然と秀吉さんの肩に頭をもたれていた。

小さなことかもしれないけれど、こんな幸せはないと思った。


「ごめんな、あんまり構ってやれなくて」

「お仕事があるんだから、そんなに気を遣わないで」

短い時間でも、こうして触れ合っていられるだけで、十分です。

しばらくそうして穏やかな景色を眺め、過ごした。


「風が強くなってきたな。そろそろ行こう」

立ち上がった秀吉さんは手を差し伸べて私を立たせようとする。
けれど…
横座りしていた足が痺れてしまって上手く立てない。

「どうした?」

「ううん、何でもない」

力を入れて立ち上がったけれど、痺れた足でよろけてしまった。

「おいおい、大丈夫か?」

「わっ!」

受け止めようとした秀吉さんを押し倒す形で、草むらに倒れこんでしまった。

「…お前、大胆になったな」

ほんの少しだけ赤くなった顔で私を見上げている。
私のほうが火を噴く程に顔が赤くなっていた。

「ち、違うよ!足が痺れちゃったの!」


きちんと言い訳をして今度こそはと立ち上がろうとするが…

ズキンッ!

右の足首に痛みが走った。声は出さなかったけれど、痛みで顔が歪んでしまい、秀吉さんが気付く。

「怪我したのか!?」

「だ、大丈夫だよ。少し捻っただけだから」

捻挫だと思う。
大したことはないのに、ダメだと言う秀吉さんは私を抱きかかえたままで城へ戻った。


「城でまで何やってんですか…」

そこに居た家康は、呆れた目を向けてすぐに逸らしてしまった。

「家康、捻挫に効く薬を頼む」

秀吉さんはそう言うと私の部屋まで連れて行ってくれた。

畳の上に私を下ろし、安静にして家康を待つように言うと、秀吉さんは足早に出て行った。




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