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【イケメン戦国】✿ 永遠の恋〜華〜 ✿

第12章 侵略する刃(徳川家康/微甘)


野営地をくまなく探したが、迦羅の姿がない。
天幕にも戻っていなかった。
俺が傷付けてしまった。後悔が止まない。


探す足が止まらず野営地から離れた所まで来ていた。
ー何処にも居ない…

視線を振ると、草むらの中に座り込む姿を見つけた。
「迦羅っー」
名を呼び駆け寄ろうとするが、嗚咽をあげ、泣いている声がする。
膝を抱えて小さくなり、溢れ出る涙をそのままに、傷付いた感情をそのままに表している迦羅の姿。
俺は切り刻まれるような痛みを感じて動けなかった。


泣き声が少し小さくなった頃を見計らって、そっと近付く。
俺に気付いた迦羅は、慌てて涙を拭い、顔を背けて立ち上がり、その場を去ろうとする。

「行かないで」

何て自分勝手なんだろう。気付けば迦羅の手首を捕まえていた。
「…ごめん…ごめん、迦羅」
こんな言葉で許されることじゃないよね。
あんなにひどいことしたんだから。
「っや、離してっ!」
抵抗する迦羅の身体ごと捕まえて、思い切り抱きしめた。

身体は震えている。
悲しさと悔しさと、刀を目の前にした怖さと、俺への恐怖があることがすべて感じとれた。
「本当に、ごめん…」
抱く腕に一層力を込めて、謝るしか出来ない。
「っ謝るくらいなら…どうして、あんな…」
振り絞るような声に、堪らなく耳が痛い。
「頭では、わかってたんだ」
…ちゃんと…言わないと、居なくなってしまう。
「迦羅が俺達を裏切ってないなんて、本当はわかってた。でも、敵である佐助が、あんたと居る姿を見たら…」

涙を飲み込んだ迦羅が顔をあげる。
幾つもの涙の筋が、痛々しかった。
「…黙ってて、ごめんなさい」
「謝らないでよ」
「でも、佐助くんは本当に私の友人で…」
「わかってる」
「私は本当に、家康の敵なんかじゃー」
「もう黙って」

あんなことをした俺を、素直に責めてくれればいいのに。
あんたは、そうはしないんだね。

片手で迦羅の頭を引き寄せ、優しく、甘く、ゆっくりと口付ける。こんなにも溢れてくる想いを、前から自覚していたのに。
俺は自ら離してしまうところだった。
そんな俺なのに、迦羅は離れずに居てくれる。


感じている温もりを、二度と裏切ることはしないと誓うよ
















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