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【イケメン戦国】✿ 永遠の恋〜華〜 ✿

第73章 織姫の願い(第53章続編SS/光秀)



七夕から三日が過ぎた。

今日は雨になると言うので
庭の竹飾りを撤去している所だった。

——政宗と光秀さんが。


「この竹は切って焚べ物にするか」

「ああ、そうだな」

高く立てられていた竹を横倒しにすると
手の届かなかった短冊がすぐそこにある。

「短冊だけ取らせて!」

二人に見られないうちに
私の書いた短冊を素早く竹から外した。


「お前、そんなに慌ててどうしたんだよ?」

「え、あ…何となく残しておきたいなと」

「さては…その短冊には見られては困ることでも書いてあるのか?」

ニヤリと薄笑みを浮かべる光秀さん。

…そうだよ。
光秀さんに見られる訳にはいかないもの。


胸にぐっと短冊を抱く様子を見て
政宗と光秀さんは益々ニヤニヤし始めた。

「あ、後は二人にお任せしますね!」

二人に下手に勘ぐられる前にと
私はそそくさとその場を離れた。




「なぁ光秀。どうすんだよ?」

「どう?…さぁ、どうしてくれようか」

「…まったく。いやらしい顔すんなよ」

「くっ。何とでも言え」




————————————————————




何とか二人の疑うような目から逃れ
部屋に向かっている所で信長様に会う。

「貴様、暇ならばこれを秀吉の御殿に届けろ」

「暇って…」

もう少し言い方無いのかな。
でもまぁいいか。

「わかりました、お預かりします」

「頼んだぞ」

信長様から書簡を受け取り
雨が降る前にとそのまま城門に向かった。

あの短冊は、懐に仕舞い込んで。



幸いにもまだ雨の降りそうな気配は無く
陽の光が注いでいた。

秀吉さんの御殿に着くと、女中さんが部屋まで案内をしてくれる。

「秀吉さん」

「ん?迦羅か、どうした?」

「信長様からこれを届けるように預かったの」

「ああ、わざわざ悪かったな」

「ううん。お邪魔しました」



無事に書簡を渡し終えて御殿を出た時だった。

生温い風が吹き、厚い雲が立ち込める。
ポツリポツリと小さな雨粒が落ち始めた。


「わぁ…急に天気が変わっちゃった」

秀吉さんに傘を借りようかとも思ったけど
それでも小雨程度の雨粒だったから
走って行けば大丈夫だと、道を駆け出した。







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