第46章 悪戯な恋文(真田幸村/甘め)
「…あの、幸村…?」
「ん?」
「昨日はごめん…」
「あぁ、あれは傷付いたよなー。他所の女の恋文だけ渡してさっさと居なくなるんだもんなー」
「だ、たがらごめんって…」
「ま、でも良かっただろ?俺宛じゃなくて」
「…うん」
正直、楓ちゃんの前で幸村が名乗った時はヒヤヒヤしたよ。
楓ちゃんの悲しむ顔を見るかもしれないと思ったら。
でも、本当に良かった…
楓ちゃんの恋の相手が佐助くんで。
…佐助くんもなかなか手強そうだけど。
「佐助くんって、恋とか興味あるのかな?」
「あれだけすっとぼけてるとわかんねーな」
「格好いいから、きっとモテるよね」
「…何だよ、佐助が良くなったのかよ」
「違うってば!私は幸村が好きなの!」
「ん?聞こえなかったけど何?」
意地悪な笑顔で見る幸村は絶対聞こえてたはずだけど、私のほうが何だか言い足りなくって抵抗はしなかった。
「だから幸村が好きなんだってば…」
「それ、もっと聞きたいから、続きはまた夜な」
耳元で囁かれる甘い声で…
胸の奥がキュンと締め付けられる。
一通の恋文に翻弄されながらも
こうして幸村の隣に居られる幸せを感じた。
これからも、恋のライバルが現れるかもしれないけど、私は絶対にこの手を離したりはしないよ。
…いいよね?幸村。
城までの帰り道
いつものように幸村は私の手を握っている。
完