第46章 悪戯な恋文(真田幸村/甘め)
「出掛けるのか?」
部屋で支度をしていると、仕事の合間に幸村が戻って来た。
「お友達に会ってくるね」
「男友達じゃねーだろうな?」
「まさか!女の子だから安心して」
「ふーん」
「疑ってるの?」
「別に…そういうわけじゃねーよ」
少しだけ面白くなさそうな顔。
変な心配しなくても、私には幸村だけなのに。
「あんま遅くなんなよ」
「うん」
それだけ告げると、幸村はまた仕事へ戻って行った。
男友達、か。
変な誤解はされたくないけど、幸村がやきもち妬いてくれるのって…ちょっとだけ嬉しいかも。
あ、いけない!そろそろ行かなきゃ!
少し足早に城下を歩いて行くと、いつもの所でその姿が見えた。
「あ!迦羅ちゃーん!」
「楓ちゃん!ごめんね、遅れちゃった」
「いいのいいの」
楓ちゃんは月に一、二度ここへ行商に来るお父さんに付き添ってくるの。
今まで何度かお話をしたことがあって
歳が同じだとわかるとお互いすぐに仲良くなった。
とても気立てが良くって可愛くて
毎月こうして楓ちゃんに会うのが楽しみになっている。
「いつも悪いねぇ、うちの娘に付き合わせちまって」
「いいんです、私も楽しみにしてるんですから」
「ほら迦羅ちゃん早く行こう!」
「陽が暮れる前に戻って来いよ」
「はーい」
楓ちゃんとお父さんて、本当に仲のいい親子。
何だかこういうの、懐かしいな…。