第45章 飴と鞭と甘い罰(織田信長/甘め)
「やっぱりこの着物可愛い!どうかな?」
「本当だな。お前が着ると良く似合う」
「ありがとう、秀吉さん」
この間、誕生日の日に秀吉さんが贈ってくれた反物で、私は自分の着物を仕立てた。
無事に出来上がったことを報告するため、着付けをして秀吉さんの元を訪れていた。
「ところで、その綺麗な髪飾りは?」
「あ、これは誕生日に信長様にもらったの」
「そっか。さすがは信長様だな、お前にぴったりだ」
「ふふっ、ありがとう」
そう、これは信長様が私のために頭を悩ませて選んでくれたもの。
私には少し大人っぽいかなと思ったけど
信長様に並ぶために、背伸びしてもいいよね。
「おい、時間は大丈夫なのか?」
「あっ!信長様に呼ばれてたんだ!」
「良く見せてくるといい」
「うん!」
用があると言われていた私は天主にやって来た。
「信長様?」
「迦羅か、入れ」
いつものように招き入れられると、信長様は仕事中だったようで、書状に目を通しているところだった。
側へ行き腰を下ろすと、信長様は髪飾りに気付いた。
「またそれを着けているのか?」
「信長様にもらった物ですから、いつも着けていたいんです」
「そうか」
信長様はそれしか言わなかったけど
口元は満足そうに笑っていた。
「それで、用があるって言うのは?」
「用など無い」
「え?」
「貴様を側に置いておきたかっただけだ」
書状から目を逸らすことなくさらりと告げる信長様。
でも、そんなひと言で私の胸はキュンと疼いた。
嬉しいな…。
「忙しいのなら戻って良いぞ」
「いいえ、此処に居ます」
「そうか」
ただ側に居て、仕事をする信長様を見ているだけなのに、何故だか私の心は満たされていった。