第43章 雨のち晴れ(徳川家康/甘々)
ザァァァァー
また降ってきちゃった…。
出てくる時はあんなに晴れていたのに。
傘、持って来れば良かったなぁ。
はぁ…いつ止むんだろう。
どんよりとした灰色の空を見上げながら
降り注ぐ大粒の雨音を聞いている。
「何、そんな顔して」
振り向くと、優しく微笑んだ家康ー。
「何って…。傘持たずに来ちゃって」
「しょうがないから、入れてあげる」
「ありがとう」
降りしきる雨の中を、家康と二人、相合い傘。
跳ね返る雨に着物の裾が濡れるけど
寄り添う二人の肩を濡らすことはない。
「迎えに来てくれてありがとう」
「何度でも、迎えに来てあげる」
季節は梅雨ー
憂鬱な雨が続くけど
雨が降ればその後には、きっと晴れの日があるから。
完