第41章 戀−koi−(豊臣秀吉/甘々)
「今日は本当に悪かったな」
「いいの、気にしないで」
御殿の前まで戻って来た俺は、今から信長様の所に行かなきゃならない。
今日は約束を守ってやれなかったな。
懐から先程買った髪飾りを取り出し、迦羅の髪に付けてやる。
ー紫陽花の髪飾り。
「良く似合ってる」
「…ありがとう、秀吉さん」
これから梅雨の時期になって、雨が続いて…
晴れの日は少なくなるが
そんな時でもきっとお前は笑っていてくれる。
いつでも俺の心に、晴れの日をくれるんだ。
「行ってくるな」
「うん。行ってらっしゃい」
「すぐに帰ってくるからな」
「うん」
迦羅の頭を引き寄せ額に口付けると
またお前の可愛い笑顔を見る。
迦羅に見送られながら歩く城までの道
それも今では悪くない。
帰りたいと思う場所にお前が居てくれるから。
今日は帰ったらうんと甘やかしてやるか。
いや、今日も、か。
いつか話したらお前は笑うだろうか?
…俺はこんなにも、お前に恋をしてるって。
完