第36章 濃密至上主義(伊達政宗/甘々)
「政宗ー?入ってもいい?」
「おう、入れよ」
俺の御殿へとやって来た迦羅。
その手には仕上がったばかりの着物が、綺麗に畳まれている。
「頼まれてた着物だよ、確認してね」
「お前にしては時間かかったんじゃねーか?」
「うん、ちょっと色々…」
「色々、何だよ?」
「い、いいから着てみせて!」
急かされるまま着替えるが…やけに慌ててたな。
俺に言えないことがあんのか?
「どう?」
「丈もぴったりだ。流石迦羅の着物だな」
ん?そう言えばこの着物…
「やけに着心地がいいな」
「本当!?良かった!」
何だ、急に喜びやがって。
着心地がいいってのはそんなに褒め言葉なのか?
「これね、反物にするところから全部政宗のために作ったんだよ」
「俺の着物を縫うために、反物まで作ったのか?」
「うん!」
満足そうに笑ってるが、大変だったんだろうな。
何もそこまでしなくったって
俺はお前が作る着物、好きなんだぜ?
「お店でこの生地を見た時、絶対政宗に着せたい!って思ったの」
「肌触りがいいからか?」
「そう。でも政宗色が無くって、どうしてもこの色で染めてくれーって頼み込んだんだ」
「そこまでして大変だったろ?でも、ありがとな」
俺の着物一つでお前は…
何でそこまで一所懸命になれるんだよ。
ったく、可愛くて仕方ねぇ。
「…じゃあ、頑張ったご褒美は?」
大きな目をキラキラさせて俺を見るんじゃねぇ。
どうなっても知らねーからな。
「何が欲しいんだよ」
「政宗の…」
おいおいおい、まさかお前っー
「政宗の口付けがいいな」
「あ?口付けだけか?」
「うん!」
「つまんねーな」
だがいいか。こうして迦羅がねだって来るんだ。
それだけでも、ありがたいと思うしかねぇな。
「ほら、来いよ」
両手を広げてやれば、嬉しそうに迦羅が飛び込んで来る。
捕らえた身体を一気に閉じ込め、啄むような口付けを何度も繰り返した。
あー…やばいな。
これは俺がだめになるやつだな…