第35章 春麗らかな君と(石田三成/微裏)
時は五月。
陽射しは暖かく、良いお天気が続いていました。
迦羅様の提案で、今日は城下を出てのんびりと過ごしていました。
小川の畔、川向こうには色鮮やかな黄色の菜の花が一面に咲いています。
「うわぁ、綺麗なところだねー」
「はい、晴れて良かったですね」
「うん!」
迦羅様は本当に素直な方です。
綺麗な景色を見れば喜び、楽しいことがあれば笑い、そんなあなただから私は恋をしたのでしょう。
今日は二人きり、とはいきませんでしたが
それでもあなたのその笑顔を隣で見られて
幸せなんですよ。
「おい、早くこっち来い」
「迦羅、三成も昼にするぞ」
政宗様がせっかくだからと、お弁当まで作って下さいました。
気持ちの良い空の下、何とも穏やかな日です。
「政宗ひとりで用意したのか?」
見た目も綺麗なお弁当を食べながら、秀吉さんが聞きました。
「いや、迦羅も一緒だ」
「本当は私が作りたかったんだけど、政宗のほうがお料理上手でしょ?だから、私はお手伝い」
「眠そうな顔して頑張ってたもんな」
「余計なことは言わないで!」
「ははっ、怒るなよ」
「本当に仲がいいんですね」
「お前、呑気なこと言ってる場合?」
「はい?」
「…いいよ、もう」
家康様は相変わらずの…
何て言うんでしたっけ?
この間迦羅様に教えてもらったのですが…。
ツンツン…違いますね。
思い出せませんが、まあいいでしょう。
「三成くん、この卵焼き私が作ったんだよ」
「やはり、とても優しい味がして美味しいです」
「本当?良かった〜」
ほら、またですよ。
あなたがそうやって笑う度に、私は胸がきゅっとなるんです。
こんな気持ち、今までは知らなかったと言うのに。