第33章 いつか貴方と永遠を(織田信長/甘め)
城へ戻り、天主で書状に目を通していた。
傍では、迦羅がせっせと針を動かし着物を仕立てている。
時折目を向けては、楽しそうな顔を覗き見た。
「それは子供用か」
「はい。贈りものです」
「贈りもの?」
「裁縫を教えている子が、来月お誕生日なんです」
「きっと気に入るだろう」
そんな一言に嬉しそうな笑顔を見せ、また手元に目を戻す。
いつか、我が子の為に着物を仕立てる日が来るだろう。
その時も今のように笑っていて欲しい。
今すぐにとは言ってやれぬが
俺も、それを楽しみにしているのだ。
そんなことを考えていると、無性に迦羅が恋しくなった。
手にしていた書状を置いて迦羅の元へ行く。
後ろからふわりと抱けば、甘やかな香りが漂う。
「危ないですよ」
「貴様が着物にばかり構っているのが気に入らん」
「ふふっ、構って欲しいんですか?」
「ああ、そうだ」
迦羅の手から縫いかけの着物を奪い、戯れるように唇を落としていく。
「くすぐったい…です」
「耐えろ」
「んっ…信長様、あっ」
「そんな声を出されては止められんな」
身を捩る迦羅をそのまま押し倒し、お構いなしに口付けの雨を降らせていく。
絡め繋いだ指先から、熱が全身へと拡がっていった。
どんな日常も
どんな世界も
俺は貴様と共に見ていたい。
「愛している」
「私もです、信長様。ずっと…愛してます」
戯れて寝転がりながら囁く愛してるの言葉。
「愛している…永遠にな」
隣で貴様が笑っている限り、俺は信じよう。
この世には、永遠があるのだとー。
完