第32章 君に甘えたくて(徳川家康/甘め)
「光秀さんっ!!」
勢い良く襖が開けられ、迦羅が飛び込んでくる。
「朝から元気だな」
「あの薬のことです!」
「ほう、効いたのか?」
勢いが良かったはずの迦羅の顔が、何かを思い出したように次第に赤くなる。
「ひどいじゃないですか、騙したんですね」
「お前の願いを叶えてやっただけだ」
「でも…」
「なんならまだあるぞ?」
「もう結構ですっ!」
顔を赤くしたまま、また迦羅は飛び出していった。
これだから、からかい甲斐がある。
しかし妙なことがあるものだ。
あれを飲んで家康に効果があったとすれば
己の中にそういう願望があったと言うことだからな。
「クッ、面白い」
あの薬は…
色を付けただけの、砂糖なのだから。
完