第28章 夜の姫はご乱心!?③(光秀ルート)
遠くに小鳥の囀りが聞こえて来た頃、心地良い温もりの中で目を覚ました。
腕の中では、顔を埋めるようにして眠る迦羅が居る。
それまで感じたことのないような朝を迎えた気がした。
これが幸せと言うのなら
もっと早くにお前を抱きしめていれば良かった。
穏やかな寝顔からも、お前が幸せであることがわかる。
「ん…」
一瞬身じろいだ迦羅だったが、まだ目を覚まさない。
むにっと柔らかな頬をつまんでみる。
やがてゆっくりと瞼を持ち上げた迦羅は、この幸せを語るようににっこりと微笑んだ。
「おはよう…光秀さん」
「良く眠れたか」
「うん」
「それにしても…」
ひどく愛らしい寝顔だった。
そう言いたいところだが、生まれもっての性悪が顔を覗かせる。
「ひどい寝顔だった」
「なっ…またそうやって!!」
むくれる迦羅が可愛くて、抵抗させないようきつく腕に閉じ込める。
トクトクと高鳴っていく俺の鼓動を、迦羅も気付いているだろう。
「ねぇ、光秀さん」
「どうした」
「愛してるって…もう一回言って?」
言えと言われて言うものではない。
…それでも、お前が望むのなら何度でも言ってやろう。
だがー
身体を起こして迦羅を組み敷く。
「言葉だけで足りるのか?」
嘘のない言葉であっても、俺は足りない。
お前の温もりに触れた時から…
後にも先にも、俺が籠絡されるのは、お前だけだ。
そして再び、二人の熱は絡まり始める。
「愛している」
完