第23章 何度でも君に(伊達政宗/甘め)
突然のことで目を閉じることも忘れ、迦羅の柔らかな唇の感触をただ感じていた。
短い口付けだったが、灼ける程に胸が熱い。
迦羅は…いつからこんなに積極的になった?
いや、この際それはいい。
たどたどしい口付けでさえも、俺を好きだと精一杯伝えてくれているんだからな。
不意打ちは苦手なんだが…
迦羅に与えられるものならば、高鳴り過ぎて壊れそうな心臓でも悪くない。
「俺を誘ってるのか?」
普段の意味あり気な笑みを浮かべると、迦羅はしまったとばかりにそそくさと立ち上がり、川のほうへ逃げていく。
返事がなくともわかってるけどな。
俺とお前は、同じ気持ちだって。
いや、いつだって同じであって欲しいと俺は願ってる。
川縁で座り込む迦羅の隣へ行き、距離を空けずに腰を下ろす。
まだほんのりと赤い横顔が堪らず、伝えたくなった。
「俺はお前を愛し…」
「私、政宗のこと、大好きだよ」
俺が言うより先になって迦羅が言葉を重ねてくる。
「負けないくらい…政宗が大好きなの」
不意に向けられた可憐な笑顔が、あまりにも愛おしいと思った。
やっぱり、俺の心をこんなにも乱れさせるのは、迦羅しかいない。
「だから、ずっと傍に居てね」
「馬鹿。お前に溺れてるのは俺のほうだ」
どちらからともなく顔を寄せ合って、何度も何度も口付けを交わす。
言葉にはしきれない「愛している」の想いを、飽きるまで伝え合った。
口付けだけで終わらせるなんて俺らしくないが…
今はそれだけで全てが満たされている。
まるで俺と迦羅の二人しか居ない世界に浸りながら。
俺はこの先何度でも言う。
迦羅、愛しているー。
完