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【イケメン戦国】✿ 永遠の恋〜華〜 ✿

第21章 穏やかな愛、激しい恋(織田信長/甘め)


春の訪れが感じられる頃、城の庭の梅の木も、次第に花を咲かせ始めていた。

陽が真上にのぼりつめた後、部屋の前の暖かな縁側に座り、何気なく近付いてくる春を感じていた。



ふと、こちらへ来る足音が聞こえて目を向ける。

「信長様!」
朝も顔を見たはずなのに、その姿が見えると堪らなく嬉しくなって、自然と笑顔になる。

「随分と嬉しそうだな」

腕組みしながら、いつもの勝気な笑みを浮かべた信長様が隣へ腰を下ろす。

「だって、信長様の顔を見ると嬉しくなるので」
「ほう。余程俺に惚れているようだ」


わかっているくせに、わざと言うんだから。
でも、その通り。
どうしようもないくらいに…信長様に惚れているの。



「何を見ていた」
大して見るものなどないだろう、と信長様は庭に目をやる。
「梅の花が、咲き始めたんです」
「貴様は小さなことを良く見ているな」
「はい。もうすぐ春が来ますよ」

暖かくて綺麗で、一番好きな季節。


信長様はしばらく梅の木を見やると、天主でのように、私の膝を枕に横になった。
「の、信長様?こんな所でいいんですか?」
誰が通るかわからないし…

「構わん」

それだけ言うと柔らかく微笑みながら、目を閉じる。

少しすると、静かな寝息が聞こえてきた。
そっと信長様の黒髪を撫でる。

いつものことだけれど、この膝に感じる重みが愛おしい。
信長様に出逢って…信長様に恋をして、私は幸せです。






しばらくして、廊下の向こうから秀吉さんがやって来た。

「信長様ー」

しーっと唇に手を当てる私を見て、秀吉さんが驚いたような顔をする。
「寝ているのか?」
「はい」

信長様を起こさないよう小声で話す。
何か用があったみたいだけれど、信長様が私の膝で寝ていることを確認すると、珍しいものを見たと言いながら満足気に戻っていく。



縁側で寄り添う私たちを、穏やかな陽が包んでいた。







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