第20章 君へ捧ぐ謌(徳川家康/甘め)
久しぶりに休日が取れて、この日迦羅と城下を散歩しながら、あちこちの露店を見て回っていた。
毎日朝晩、迦羅の顔は見てるけど、こうして一日中そばに居られるのは本当に久しぶり。
陽射しの中で見ると、何かこうキラキラしてる。
元々可愛かったけど、日に日に可愛さが増してる。
きゅっと繋いだ手から伝わってくる迦羅の体温が、こんなにも愛しいなんて。
「ねぇ、家康。どうしたの?」
じっと見つめる視線に気付いたのか、照れくさそうな顔してる。
「あんたって本当に…」
「ん?」
「何でもない」
「そんな言い方したら気になるでしょ」
「ほら、帰るよ」
「もうー。意地悪」
むくれて見せたって駄目だからね。
あんたって本当、可愛いんだから。
言葉にする代わりに一旦立ち止まり、額にちゅっと唇を当てる。
あーあー
こんなことくらいで耳まで赤くしちゃって。
「あ、あんまり…外で、そういうのは」
「ふうん。外じゃなきゃいいんだ」
「えっ?…それは…」
困ってる。
でも、嫌じゃないのは知ってるよ。
そういうの全部が俺を煽るんだってこと、自覚してるのかなこの子は。