第18章 魔王の誓い(織田信長/悲甘)
織田への謀反を企んでいる者が居る。
そう報せを受けたのはつい先程のことであった。
いつものように武将達を広間へ招集し、各地から入っている情報を確認している。
「東国へ送っている斥候の報せによりますと、織田傘下の小国の幾つかで謀反の動きがある、とのこと」
真剣な表情で秀吉が報告する。
続けて光秀も口を開く。
「こちらの情報では、西国でも同じような動きがあるようだ」
武将達は皆、わからぬ顔をしている。
「東国と西国、両方で同時に謀反の企てがあるだと?」
「しかもどちらも傘下の小国ですよね?」
偶然にしては出来過ぎている。
「今ある情報では、謀反に加わる小国や領土が拡大している」
「しかし、名が聞こえてくるのは小者ばかり。軍の将の姿は見えません」
「それだけの謀反を起こそうってんのに、軍を統べる武将がいねぇってのはどういうことだ」
顎をさすりながら、納得のいかぬ顔で政宗が頭をひねっている。
もしくは、何処ぞの将がうまいこと裏で手引きをしているかー。
「しかしまだ参加国が集まり始めたばかり、仕掛けてくるのは当分先になるかと」
「何にせよ情報が足りん。引き続き探らせろ」
「はっ。」
低い声が響き、武将達は頭を下げた。