第17章 絡まる絲(真田幸村/甘め)
薄暗い部屋に入り、襖を閉める。
やっと二人きりになれた安心からか、思わず勢い良く迦羅の身体を抱き寄せた。急くようにその唇を奪う。
伝わってくる迦羅の熱が、俺だけのものだと実感したかった。
一旦唇を離す。
呼吸の乱れた迦羅が、熱っぽく濡れた目で見ている。
口付けだけでこんな顔するんだもんな。
もっと、お前の可愛いとこが見たい。
「…幸村…」
名前を呼ばれただけで鼓動が跳ね上がる。
「俺は、死ぬほどお前を愛してる」
真っ直ぐに見つめ返す迦羅の顔が、ほころんだ。
でも、照れたようにすぐに顔を背ける。
「何か言えよ」
「だって…」
素直じゃねーな。言わせてやるよ。
その身体を壁際まで追いやる。
まだ恥ずかしそうに顔を背けたままの迦羅の耳元に唇を寄せ、意地悪を言ってみた。
「何?謙信様のほうが良かった?」
すると迦羅が顔を向けて、慌てて否定する。
「そんなわけないでしょ!」
「じゃあ何?」
鼻先が触れるほど顔を近付けて聞きなおすと、また顔が赤くなる。
可愛い。
「言わないの?」
迦羅の口からちゃんと聞きたいんだ。
顔を覗き込みながら、片手で帯を解く。はだけた着物の間から、その肌に手を這わせると、高まった熱が良くわかった。
「あっ、あ…、やだっ…」
「愛してるって言えよ」
胸元に手を滑らせて、鎖骨あたりを甘く口付ける。
「あぁっん、幸村…」
更に手を滑らせていくと、観念したように口を開く。
「愛してる…幸村が、大好き」
「やっぱ可愛い」
何度も口付けを繰り返し、気の済むまで迦羅を求めた。
明日も明後日も、きっとまた飽きることなく欲しくなる。
こんなに惚れてんだから、当たり前だけどな。
惚れてるからこそ、不安になったり嫉妬したり、そういうもんがあるんだってわかったよ。
信玄様でも謙信様でも…手出す気にもならねぇくらいに、俺に惚れさせてやるからな。
完