第3章 プレゼント(サンジ)
ユナは窓から入る月明かりで小瓶を照らした。照らされた小瓶は中に入っている黄色い飴玉と一緒にキラキラと輝く──。
『…この飴玉、まるでサンジの髪みたいにキラキラしてるわ』
「──っ!」
小瓶を見つめて優しく笑うユナは月の光も手伝ってかいつもより綺麗に見えた。例え記憶が無くても思う事は一緒なんだろうと、サンジは選んでくれた理由が分かり人知れず笑みが零れる。
今、電気がついてなくて良かった…きっとにやけた顔をしているに違いない。薄暗いこの部屋ならユナちゃんに気付かれる事はないだろう、サンジは誤魔化す様にタバコに火をつけた。
「おいユナー! 起きたか⁉︎ 起きたんなら一緒に宴会しようぜ宴会‼︎」
『へ…ちょ、ちょっと…っ』
突然バンっと扉を開けて現れたルフィはユナを見つけるや否やその腕を掴むとそのまま外へと連れ出してしまう。残されたサンジは呆気にとられながらもテーブルに置かれた小瓶を手に取った。
──サンジの髪みたいにキラキラしてる──
「ハハ…結構嬉しいもンだな」
どうやら自分は思いの外あの少女に心惹かれている様だ。サンジはグッと小瓶を握り再びテーブルへと戻すとルフィの後を追った。
「おいこらルフィ、レディーは丁寧に扱えっていつも言ってるだろォ!」
サンジも出て行き誰もいなくなったリビングでは、月明かりに照らされた小瓶だけがいつまでもキラキラと輝いていた──。
fin.