第1章 知らない世界と俺と周りと
いつも通り、そりゃもう普通に寝たはずだった
夢で見たのが不思議なモノだったのを除けばほんとうに普通だった…はずだった
彼は目の前でぼんやりとする輪郭で立っていた
覚えてるのは…彼の首と手と足に黒いなにかがまとわりついていたのと、キラキラと輝く宝石のような瞳
左右で色が違うから、オッドアイかなってその時思った
「それじゃあ、後は…よろしくな」
少し悲しそうに言った彼は泣くのを我慢してるみたいだった
ちょっとだけうつむき加減になった時、瞳の色がどっちも変わったからほんの少し驚いた
だってとても綺麗だったから
自分にはない色だったから、単純に「いいな」と思ってしまった
無駄な長考を(もしかしたら一瞬だったかもしれない)してたら彼はそれだけ言って満足したのか、背を向けてしまった
そのまま背は遠ざかっていく
そっちに行くのはまずいと思った、根拠はないけど
なんとなく行かせたらいけないという思いから手を伸ばしたけど、全然手が届かない
手を伸ばしてるのに、彼は背を向けてるだけなのに、何故か彼が遠くなっていく
必死になって叫びもしたけど、それも届いて無いようで
自分は彼を知らないし、出会ったのだってついさっきだったけど、無性に悲しくなってきて、多分泣いたかもしれない
伸ばした手までが輪郭がぼんやりとしだして、その手にはじめて意識を向けた
その手には…彼の首や手に付いてたものと同じ黒い…
かなしくて、こわくなった