第3章 隣の席
「はーいじゃ次は、4月の最初にやった実力テストの結果を返します。」
うわっ憂鬱だな…。あたしは自分で言うのはアレだけど、成績は割りと良いほう…
でも今回はイマイチだったなー(汗)
「はーぃ大倉さん」
「…はい。」
お願いっ…!
あたしは祈るような気持ちで5教科の点数がかいてある紙を開いた。
得点: 98 95 88 100 96
あれ?割りといいかも!よかったぁ~
「さえっち!なんか嬉しそうだんね」
またこいつか…。
ほっといてよ まったく…
「べ、別になんでもないよ」
「あ、さえっち理科何点だったぁー?」
「えっなんでよ」
あたしがこの人に成績で負けるわけがないから、別に教えてもかまわなかったけど。
と 思ってたら成績票をヒョイッと取られた。
「おーさえっちは88か。」
「わかったなら返してっ」
するとその人は自分の成績表をヒラヒラしながら、言った。
「負ーけた!俺、86!」
えっ…?江藤くんが理科で86?
「けっこう頭いいんだね、江藤くん」
「もぉー俺っちのことは【りゅう】でいいから!」
「わ、わかりました…」
あたしの頭の中では【りゅう】のことよりも理科86点のことのほうがいっぱいだった。
「ね、奥富さん!」
「んーどした?」
「江藤く…りゅうって相当頭いいんだね。」
「そうだよ!まぁさえちゃんにはかなわないでしょー笑」
「いやあたしは…」
そんなことを聞いてるんじゃなくて…
「でもりゅうがあんなに寝てんのに頭良いとかくやしーわー笑」
奥富さんがペン回ししながら笑った。
江藤隆介…なかなか手強いな…。