第2章 帰り道
ー次の日ー
最悪…
変な噂が広まってあたしはよけいに悪者扱いみたい…。
一日中ぎすぎすした感じで授業にもあまり集中出来なかった。
「遥香っ七海っ…」
「…。」
あたしの声は届かなかった。
いや、聞こえなかっただけだよ。無視なんてするわけないよ…
そして放課後
いっしょに帰ってくれる人いないよね、ハァ…
ため息をつく。
一人ってつらいんだな。
靴箱にいくと、雛子、遥香、七海がたまって喋っていた。
「でね…智穂がさ…」
「智穂…ってさ」
「でも智穂がー…」
【智穂】という単語が聞こえた気がした。
体の筋肉が一瞬硬直したかと思った。
今、あたしのこと言った…?
何を言われたのかわからないが、不安で心にズキンズキンと刺さった。
もうやだ…。
あたしは三人に見えない位置にいき、靴を急いで履き、無神経に走り出した。
なんでこんなにうまく行かないの?
何もかも。
あたしはいつでも…っ
我慢していた何かが溢れ出した。
「…っ」
どうせ誰も見ていない。
涙をこらえることなく流した。
そこに
キィッ
自転車のブレーキの音がした。
「……っ!」