第5章 番外編 ー執事が考える罰ゲームー
「はふへーふ?」
アイリーンは口に可愛らしくデコレートされたドーナツを頬張りながら首をかしげる。
一方でセバスチャンはコーヒーを淹れながらいつもの余裕な微笑みを浮かべていた。
「ええ、先日お嬢様、エリ様、私でババ抜きをいたしましたでしょう?それで私が勝利を収めましたのでお嬢様に罰ゲームを申し込んでいたのですが」
思い出したアイリーンはドーナツを喉に詰まらせ咳き込む。そしてセバスチャンのいれたコーヒーを一気に口に流し込みなんとか難を逃れた。
「あ、ああ…そういえばそんな話してたわね。で、私になにをさせるの?」
セバスチャンはワゴンの1番下の段から小さく折りたたまれた黒い布とカチューシャ、赤い鈴がついた首輪を取り出す。
カチューシャのてっぺんには黒猫の耳の形をした三角形が取り付けられている。
そして黒い布を広げてみせる。1つはヘソが見えてしまうくらいの丈の黒色のふわふわの生地で作られたTシャツのようなもので、上下合わせて着るものと思われる下の丈はほとんど下着のような同じ生地で作られたズボンだった。
「…ほんとうに私になにをさせるつもりなの?」
ーこの執事、頭おかしい
アイリーンは全身の細胞がそう言っているように感じた。
一方のセバスチャンはいつもにも増してニコニコと晴れやかな笑顔を見せて黒の衣装をひらつかせていた。
「今日1日、私の飼い猫になってください」