第1章 一輪の花
悪魔にとって人間の生なんてものは一瞬にすぎない。
人間が花瓶にさした花を見て枯れるのが早いなんて言うように悪魔にとっても人間なんていう醜い花は一瞬でその命を根絶やしてしまう。
実につまらないものだ。
欲望にまみれた人間、色事にしか興味のない人間、嘘をつく人間
今まで色んな人間を見てきたがどの人間の魂も不味くてまずくて仕方ない。
強いて例えるなら欲望という脂っこい肉にかけられた色欲という味の濃いソース。そして飲み物にはぬるくて酸っぱくなった汚い色のワイン…。
嗚呼、不味い。
到底人間の食べる餌なんてものは悪魔からしたら家畜の餌も同然。家畜の餌に興味なんてわかない。そもそも悪魔の味覚は人間とは違う。
人間の魂のみを味わうことが許されたこの舌。
私が欲しいのは人間が作ったガラクタでも女でも酒でもない。
私が欲しいのは…そう
穢れなき高慢な魂。
その魂を口いっぱいに味わうことが出来たとき私の腹はどれだけ満たされることでしょう。
嗚呼…喰べたい。
この空腹が満たされるまで
空腹なら空腹なほど…ディナーは美味しいものでしょう?